工房では様々な糸で縫いを行いますが、作るもの・縫う場所・工程によって、様々な種類の糸を使い分けています。
今回は、うちの工房で使っている糸について紹介します。
まずはミシン用の糸から。
こちらは一般的な靴用のミシンで使われている糸。
縮みにくく、仕上がりが綺麗なのが特徴です。
番手(糸の太さ)は30番。
実際の仕上がりはこんな感じ。
一方、こちらの糸は上記の糸に比べるとかなり太い8番と呼ばれる糸です。
中でもビニモ/MBTと呼ばれる、強度の強いタイプの糸を使っています。
ただ、こちらの糸は靴用のポストミシンでは使うことが出来ないので、主に手回し用の平ミシンで使っています。
主にスマホケースや財布などの革小物を作る時に使用。
ステッチの太さが変わると、雰囲気が大きく変わります。
細いステッチはドレッシーに。太いステッチはカジュアルな仕上がりになります。
こちらは革小物やシンプルなステッチダウンシューズで使う手縫い糸。
ミシン糸に比べると、大幅に太い糸(00番)を使っています。
ステッチ幅も粗いピッチにしてラフな仕上がりにしています。
また、この糸の大きな特徴として、ロウ引き(ワックスで糸をコーティング)がされています。
ロウ引きをすることで、強度が上がり、糸のゆるみを防ぐこともできます。
じゃあミシン用の糸もロウ引きすればいいじゃん!と思うかもしれませんが、ロウ引き糸をミシンで使うと、ミシン内部にロウが溜まってしまいミシンが壊れてしまうので、蝋引き糸はあくまでも手縫いで使うのが大前提になります。
上記のことを踏まえて、うちの工房では
靴用:30番~40番 ポリエステルミシン糸/ポストミシン ドレッシーな仕上がり
革小物(マチなし)用:8番 ビニモMBT/平ミシン ややカジュアルな仕上がり
革小物・鞄用:00番 ロウ引き/手縫い カジュアルかつ、手縫い独特の風合いのある仕上がり
と、使い分けています。
最後にこちらは手縫いは手縫いでも、靴のすくい縫い用の糸。
ある意味、一番原始的な糸かもしれません。細い糸を手で撚ってからロウの代わりにチャン(松脂と油を配合したもの)をこすりつけて糸を作っていきます。
これが結構な時間と手間で・・・
他の糸のように、予めすぐに使える状態の糸があればいいのになぁ・・・と思うのですが、
チャンを付けた糸は長期間保存が出来ないので、ハンドソーンをするときには毎回この作業が必要になってきます。
誰かすぐ使えるハンドソーンの手縫い糸開発してくれないかな。結構売れると思います(笑)。
Comments